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クラインの壺

クラインの壺
クラインの壺

1989年の作品。当時読んでいたら今よりももっと衝撃を受けていたと思う。でも今読んでも十分に面白い。

Web上では叙述ものとして紹介されることも多いようだけど、その意味では途中で容易にわかってしまうので、SF物として読むのが正しいと思う。


どんどん橋、落ちた

どんどん橋、落ちた
どんどん橋、落ちた
5本の短編集。
これを叙述トリック物に挙げる人がいる。確かにそうなっている話が多いけど犯人当てものとしてのひっかけに使われているのであって叙述物として読むと落胆する。
犯人当ての短編集ということに興味があれば読んでもいいと思うけど、自分としては誰にもすすめない。

閉じた城の中で語る英吉利人

閉ざされた城の中で語る英吉利人
閉ざされた城の中で語る英吉利人

エログロ。愛だの恋だのといったものは一切ない。

「世界征服」は可能か?

「世界征服」は可能か?
「世界征服」は可能か?

第1章から第3章は"悪の組織による"「世界征服」は可能かと考察している。"悪の組織"以外ではどうかということは考えられていない。
結局『"悪の組織"による「世界征服」は割に合わない』ということに落ち着くのだけど、オースティンパワーズ1作見ただけでもその結論には行き着くはず。いろいろな例をアニメや漫画、映画から挙げている部分は面白いけど。

最終章の第4章は説教じみてる。なんで金だしてお前の説教読まなきゃいけないんだと気分が悪くなる。

最近の新書によくある「タイトルの勝利」の本。

宇宙消失

宇宙消失
宇宙消失

シュレーディンガーの猫みたいな話が中心軸。

印象としては比喩を言葉通りに起きることとして作った話といった感じで、具体的には思い出せないけどドラえもんで似たような印象を持った話があった気がする。

グレッグ・イーガンおなじみのアイデンティティの問題については、エヴェレット解釈と、脳にインストールされるモッドの作用という2つの面で展開している。エヴァレット解釈っぽい部分は祈りの海所収の「無限の暗殺者」と通じるものがある。
ちなみに最近「米兵の脳に埋め込むバイオチップ」なんてものも出来つつあるみたいなので、モッドみたいなのが現実化するのかもしれない。

原題はQuarantine(隔離)。最初は邦題の方が良いと思ったけど、読み進めていったら原題の方が良いと思った。

叙述トリックものの個人的まとめ

叙述トリックものをいくつか読んで、もう飽きたというか、これ以上面白いと思えるものが見つかりそうにないと思ったので、記録としてまとめておく。

読んだ順番は古いほうから
ロートレック荘事件
ハサミ男
殺戮に至る病
そして誰もいなくなった
十角館の殺人
倒錯の死角(アングル)―201号室の女

以下、順位とクラス分けをした上で感想をまとめておく。各クラス間には自分の中で大きな溝がある。


Aクラス
1位 殺戮に至る病  我孫子武丸
殺戮にいたる病
殺戮にいたる病
「叙述トリック」という言葉を知ってから最初に読んだ。叙述トリックものということを知っていて読んでいたにもかかわらず、どんでん返し部分では鳥肌が立った。


2位 ハサミ男   殊能将之
ハサミ男
ハサミ男
これも大好きでいろんな人に勧めた。映画もあるけど、映画はぜんぜんだめ。映画を見るんだったら少なくとも本を読んだ後にしたほうがいい。映画を見た後に本を読んでも楽しめない。逆に本を読む前に映画を見ても本と無関係に面白くない。



Bクラス
3位 ロートレック荘事件 筒井康隆
ロートレック荘事件
ロートレック荘事件
最初に読んだ叙述トリックもの。びっくりしたけど、筒井康隆の実験としての位置付けからか、ちょっと構成に難があると思う。



Cクラス
4位 そして誰もいなくなった  アガサ・クリスティ
そして誰もいなくなった
そして誰もいなくなった
1939年の発表ということで叙述トリックものの古典といえる。70年近く前の小説としてはすごいと思うけど、現代的な叙述トリックものを読んだ後だと物足りない。


5位 十角館の殺人  綾辻行人
十角館の殺人
十角館の殺人
まとめておこうと思ったのはこの「十角館の殺人」を読んだことをすっかり忘れていて危うくもう一度買いそうになったからでもある。「そして誰もいなくなった」を読んでおけば、これは読む必要がないと思う。


6位 倒錯の死角(アングル)―201号室の女  折原一
倒錯の死角(アングル)―201号室の女
倒錯の死角(アングル)―201号室の女
これを読んで、もう叙述トリックものはやめようと思った。ネット上では結構評判がいいように思うんだけど面白くなかった。「叙述トリック」を使うために「叙述トリック」以外の部分が無理矢理になっていると思う。



番外
クラインの壺
 クラインの壺
叙述トリックものというよりSFというべきだと思う。出来はいいと思う。


番外
どんどん橋、落ちた
 どんどん橋、落ちた
犯人当ての短編集。少なくとも叙述トリックものとして読むとがっかりする。

ディアスポラ

ずいぶん前に書かれた記事のSF好きはグレッグ・イーガンの『ディアスポラ』を読むな!に触発されてディアスポラを読んだのがグレッグ・イーガンを読み始めたきっかけだった。

ディアスポラ
ディアスポラ


作者による解説
Diaspora

板倉充洋氏による解説など
JGeek Log - ディアスポラ数理研

すごく面白くてその後、短編集ふたつ(「しあわせの理由」、「祈りの海」)と長編の「順列都市」を読んだけど、面白さはディアスポラに遠く及ばなかった。

グレッグ・イーガンは短編から入った方がいいという意見もある。
Mint Julep(2005-12-23)
ただのにっき(2005-12-27)
でも、ここまで読んだ限りではグレッグ・イーガンは世界を作って見せる部分は得意でも、物語を作る(もしくは落ちをつける)という部分はあまり上手には思えないから、全編通してこれでもかと空想の世界を見せつけるディアスポラから読んだ自分が正解だったと思う。

ちなみに僕は本は好きだけどSFはあんまり読んだことがない。特に海外物だとディックを少々といったところ。

人に薦めるにしてもディアスポラが大丈夫そうな人にはディアスポラを薦めるし、ディアスポラがだめそうな人にはグレッグ・イーガンは薦めない。
人に本を薦めるなら、村上春樹だと「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」を一冊としては薦める人が多いようにその作家で一番面白いと思える作品から薦めるべきだと思う。

村上春樹の本を三冊以上読まれた方に質問です。ワタシのように彼の本を一冊も読んだことのない人間に最初に何を勧めますか? 小説/エッセイ、長編/短編は問いませんが、.. - 人力検索はてな

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉

本当は村上春樹は「風の歌を聴け」から順番に読む価値はあると思うけど。

風の歌を聴け
風の歌を聴け

しあわせの理由、祈りの海

自分用にメモ。
グレッグ・イーガンの短編集2冊。

しあわせの理由
しあわせの理由

適切な愛
クローンを使った治療。

闇の中へ

特異な現象内での作業。

愛撫
キメラ。

道徳的ウイルス学者
同性愛嫌いな狂信的学者。

移相夢
記憶をコピーするときに何を感じるか。

チェルノブイリの聖母
チェルノブイリで描かれたイコン。

ボーダー・ガード
「宝石」により不死がもたらされた。

血をわけた姉妹
双子。

しあわせの理由

感受性のコントロール。


祈りの海
祈りの海

貸金庫

毎日別の人として起きる。

キューティ
期限付き子供。

ぼくになることを
自分のバックアップ


同性愛根絶の野望

百光年ダイアリー

運命は決定されている?

誘拐
データの人格をどう考えるか。

浮浪者
思想に吸引される領域。

ミトコンドリア・イブ
共通の祖先はいるのか?

無限の暗殺者

パラレルワールド。

イェユーカ
医療データの搾取。

祈りの海
化学物質と宗教観。



*を付けたのが面白いと思った話。グレッグ・イーガンは長編の方がいい。